緕p《うしろつき》だ。ああ、好《い》い風《ふう》だ、と思っている中《うち》に、もう部屋を出て了って、一寸《ちょっと》小腰を屈《かが》めて、跡を閉めて、バタバタと廊下を行く。
別段|異《かわ》った事もない。小娘でないから、少しは物慣れた処もあったろうが、其は当然《あたりまえ》だ。風《ふう》に一寸《ちょっと》垢脱《あかぬけ》のした処が有ったかも知れぬが、夫《それ》とても浮気男の眼を惹《ひ》く位《ぐらい》の価値で大した女ではなかったのに、私は非常に感服して了った。尤も私の不断接している女は、厭にお澄しだったり、厭に馴々《なれなれ》しかったりして、一見して如何にも安ッぽい女ばかりだったから、然ういうのを看慣《みな》れた眼には少しは異《ちが》って見えたには違いない。
何物だろうと考えて見たが、分らない。或は黒人《くろうと》上りかとも思ってみたが、下町育ちは山の手の人とは違う。此処のお神さんも下町育ちだと云う。そういえば、何処か様子に似た処もある。或は下町育ちかも知れぬとも思った。
素性は分らないが、兎に角面白そうな女だから、此様《こん》なのを味わったら、女の真味が分るかも知れん。今に膳を下
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