ト》で、蒼白い、淋しい面相《かおだち》の、好《い》い女だ……と思った。年頃は二十五六……それとも七か……いや、八か……女の歳は私には薩張《さっぱり》分らない。もう羽織はなしで、紬《つむぎ》だか銘仙だか、夫とも更《もッ》と好《い》い物だか、其も薩張《さっぱり》分らなかったが、何《なに》しても半襟の掛った柔か物で、前垂《まえだれ》を締めて居たようだった。障子を明けると、上目でチラと私の面《かお》を見て、一寸《ちょっと》手を突いて辞儀をしてから、障子の影の膳を取上て、臆した体もなくスルスルと内へ入って来て、「どうもお待せ申しまして」、といいながら、狼狽《まごまご》している私の前へ据えた手先を見ると、華奢《きゃしゃ》な蒼白い手で、薬指に燦《きら》と光っていたのは本物のゴールド、リングと見た。正可《まさか》鍍金《めッき》じゃ有るまい、飯櫃《めしびつ》も運び込んでから、
「お湯はございますか知ら。」
 と火鉢の薬鑵《やかん》を一寸《ちょっと》取って見て、
「まだ御座いますようですね。じゃ、お後《あと》にしましょう。御緩《ごゆっ》くりと……」
 と会釈して、スッと起《た》った所を見ると、スラリとした
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