u大層お気が揉めますのね。何なら、もう一遍下へ行って見ていらしッたら……」
 誰にでも翻弄《ほんろう》されると、途方に暮れる私だから、拠《よん》どころなく苦笑《にやり》として黙って了うと、下女は高笑《たかわらい》して出て行って了った。

          五十一

 軈《やが》て夕飯時《ゆうめしどき》になった。部屋々々へ膳を運ぶ忙がしそうな足音が廊下に轟いて、何番さんがお急ぎですよ、なぞと二階から金切声で聒《かしま》しく喚《わめ》く中を、バタバタと急足《いそぎあし》に二人ばかり来る女の足音が私の部屋の前で止ると、
「此方《こッち》が一番さんで、夫《それ》から二番さん三番さんと順になるンですから何卒《どうぞ》……」
 というのは聞慣れた小女《ちび》の声で、然う言棄てて例の通り端手《はした》なくバタバタと引返《ひッかえ》して行く。
 と、跡に残った一人が障子の外に蹲《うずく》まった気配《けはい》で、スルスルと障子が開《あ》いたから、見ると、彼女《あのおんな》だ、彼女《あのおんな》に違いない。私は急いで余所を向いて了ったから、能《よ》くは、分らなかったが、何でも下女の話の通り細面《ほそおも
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