チている若い男女を観察して満足して居なければならん。が、若い男を観察したって詰らない。若い男の心持なら、自分でも大抵分る。恋の可能《ポッシビリチイ》を持っている若い女の観察が当面の急務だ。と、こう考え詰めて見ると、私の人生研究は詰り若い女の研究に帰着する。
で、帰着点は分ったが、矢張《やッぱり》実行が困難だ。若い女を研究するといって、往来に衝立《つッた》っていて通る女に一々触れもされん。勢い私の手の届く所から研究に着手する外はない。が、私の手の届く所だと、まず下宿屋のお神さんや下女になる。下宿屋のお神さんは大抵年を喰ってる。若いお神さんはうッかり触れると危険だ。剰《あま》す所は下女だが、下女ではどうも喰い足りない。忙がしそうにしている所を捉《つか》まえて、一つ二つ物を言うと、もう何番さんかでお手が鳴る。ヘーイと尻上りに大きな声で返事をして、跡をも閉めずにドタドタと座敷を駈出して行くのでは、余り没趣味だ。下女が没趣味だとすると、私の身分ではもう売女《ばいじょ》に触れて研究する外はないが、これも大店《おおみせ》は金が掛り過るから、小店で満足しなければならん。が、小店だと、相手が越後の国|
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