bくりした面《かお》を飽かず眺めて、二人の話を聴いていると、松も能《よ》く饒舌《しゃべ》るが、雪江さんも中々負ていない。話は詰らん事ばかりで、今度開店した小間物屋は安売だけれど品《しな》が悪いの、お湯屋《ゆうや》のお神さんのお腹がまた大きくなって来月が臨月だの、八百屋の猫が児を五疋生んで二疋喰べて了ったそうだのと、要するに愚にも附かん話ばかりだが、しかし雪江さんの様子が好《い》い。物を言う時には絶えず首を揺《うご》かす、其度にリボンが飄々《ひらひら》と一緒に揺《うご》く。時々は手真似もする。今朝|結《い》った束髪がもう大分乱れて、後毛《おくれげ》が頬を撫《な》でるのを蒼蠅《うるさ》そうに掻上《かきあ》げる手附も好《い》い。其様《そん》な時には彼《あれ》は友禅メリンスというものだか、縮緬《ちりめん》だか、私には分らないが、何でも赤い模様や黄ろい形《かた》が雑然《ごちゃごちゃ》と附いた華美《はで》な襦袢《じゅばん》の袖口から、少し紅味《あかみ》を帯びた、白い、滑《すべっ》こそうな、柔かそうな腕が、時とすると二の腕まで露《あら》われて、も少し持上《もちゃ》げたら腋の下が見えそうだと、気を揉ん
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