ナいる中《うち》に、又|旧《もと》の位置に戻って了う。雪江さんは処女《むすめ》だけれど、乳の処がふッくりと持上っている。大方乳首なんぞは薄赤くなってるばかりで、有るか無いか分るまい……なぞと思いながら、雪江さんの面《かお》ばかり見ていると、いつしか私は現実を離れて、恍惚《うっとり》となって、雪江さんが何だか私の……妻《さい》でもない、情人《ラヴ》でもない……何だか斯う其様《そん》なような者に思われて、兎に角私の物のように思われて、今は斯うして松という他人を交《ま》ぜて話をしているけれど、今に時刻が来れば、二人一緒に斯う奥まった座敷へ行く。と、もう其処に床が敷《と》ってある。夜具も郡内《ぐんない》か何《なに》かだ。私が着物を脱ぐと、雪江さんが後《うしろ》からフワリと寝衣《ねまき》を着せて呉れる。今晩は寒いわねえとか雪江さんがいう。む、む、寒いなあとか私も言って、急いで帯をグルグルと巻いて床へ潜り込む。雪江さんが私の脱棄《ぬぎすて》を畳んでいる。其様《そん》な事は好加減《いいかげん》にして早く来て寝なと私がいう。あいといって雪江さんが私の面《かお》を見て微笑《にッこり》する……
「ねえ、古
前へ 次へ
全207ページ中125ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
二葉亭 四迷 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング