さんの方が不条理ですワ。今もネ母親さんが得意になってお話しだったから、私が議論したのですよ。議論したけれども母親さんには私の言事《いうこと》が解らないと見えてネ、唯《ただ》腹ばッかり立てているのだから、教育の無い者は仕様がないのネー」
ト極り文句。文三は垂れていた頭《こうべ》をフッと振挙げて、
「エ、母親さんと議論を成《な》すった」
「ハア」
「僕の為めに」
「ハア、君の為めに弁護したの」
「アア」
ト言ッて文三は差俯向いてしまう。何《なん》だか膝《ひざ》の上へボッタリ落ちた物が有る。
「どうかしたの、文さん」
トいわれて文三は漸く頭《こうべ》を擡《もた》げ、莞爾《にっこり》笑い、その癖|※[#「目+匡」、第3水準1−88−81]《まぶち》を湿《うる》ませながら、
「どうもしないが……実に……実に嬉れしい……母親さんの仰しゃる通り、二十三にも成ッてお袋一人さえ過しかねるそんな不甲斐《ふがい》ない私をかばって母親さんと議論をなすったと、実に……」
「条理を説ても解らない癖に腹ばかり立てているから仕様がないの」
ト少し得意の躰《てい》。
「アアそれ程までに私《わたくし》を……思ッて
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