何《いか》にしても腹に据《す》えかねる。何故《なぜ》意久地がないとて叔母がああ嘲《あざけ》り辱《はずかし》めたか、其処《そこ》まで思い廻らす暇がない、唯もう腸《はらわた》が断《ちぎ》れるばかりに悔しく口惜しく、恨めしく腹立たしい。文三は憤然として「ヨシ先がその気なら此方《こっち》もその気だ、畢竟《ひっきょう》姨《おば》と思えばこそ甥と思えばこそ、言たい放題をも言わして置くのだ。ナニ縁を断《き》ッてしまえば赤の他人、他人に遠慮も糸瓜《へちま》もいらぬ事だ……糞ッ、面宛《つらあて》半分に下宿をしてくれよう……」ト肚《はら》の裏《うち》で独言《ひとりごと》をいうと、不思議やお勢の姿が目前にちらつく。「ハテそうしては彼娘《あれ》が……」ト文三は少しく萎《しお》れたが……不図又叔母の悪々《にくにく》しい者面《しゃっつら》を憶出《おもいいだ》して、又|憤然《やっき》となり、「糞ッ止めても止まらぬぞ」ト何時《いつ》にない断念《おもいきり》のよさ。こう腹を定《き》めて見ると、サアモウ一刻も居るのが厭になる、借住居かとおもえば子舎《へや》が気に喰わなくなる、我物でないかと思えば縁《ふち》の欠けた火入まで
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