ならお勢の居ない時だ、チョッ今言ッてしまおう」ト思い決《さだ》めて今|将《まさ》に口を開かんとする……折しも縁側にパタパタと跫音《あしおと》がして、スラリと背後《うしろ》の障子が開《あ》く、振反《ふりかえ》ッて見れば……お勢で。年は鬼もという十八の娘盛り、瓜実顔《うりざねがお》で富士額、生死《いきしに》を含む眼元の塩にピンとはねた眉《まゆ》で力味《りきみ》を付け、壺々口《つぼつぼぐち》の緊笑《しめわら》いにも愛嬌《あいきょう》をくくんで無暗《むやみ》には滴《こぼ》さぬほどのさび、背《せい》はスラリとして風に揺《ゆら》めく女郎花《おみなえし》の、一時をくねる細腰もしんなりとしてなよやか、慾にはもうすこし生際《はえぎわ》と襟足《えりあし》とを善くして貰《もら》いたいが、何《な》にしても七難を隠くすという雪白の羽二重肌、浅黒い親には似ぬ鬼子《おにっこ》でない天人娘。艶《つや》やかな黒髪を惜気もなくグッと引詰《ひっつ》めての束髪、薔薇《ばら》の花挿頭《はなかんざし》を※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]《さ》したばかりで臙脂《べに》も甞《な》めねば鉛華《おし
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