、
「ハイ只今《ただいま》、大層遅かッたろうネ」
「全体|今日《こんち》は何方《どちら》へ」
「今日はネ、須賀町《すがちょう》から三筋町《みすじまち》へ廻わろうと思ッて家《うち》を出たんだアネ。そうするとネ、須賀町へ往ッたらツイ近所に、あれはエート芸人……なんとか言ッたッけ、芸人……」
「親睦《しんぼく》会」
「それそれその親睦会が有るから一所に往こうッてネお浜さんが勧めきるんサ。私は新富座《しんとみざ》か二丁目ならともかくも、そんな珍木会《ちんぼくかい》とか親睦会とかいう者《もん》なんざア七里々《しちりしちり》けぱいだけれども、お勢《せ》……ウーイプー……お勢が往《いき》たいというもんだから仕様事《しようこと》なしのお交際《つきやい》で往《いっ》て見たがネ、思ッたよりはサ。私はまた親睦会というから大方演じゅつ会のような種《たち》のもんかしらとおもったら、なアにやっぱり品《しん》の好い寄席《よせ》だネ。此度《こんだ》文さんも往ッて御覧な、木戸は五十銭だヨ」
「ハアそうですか、それでは孰《いず》れまた」
説話《はなし》が些し断絶《とぎ》れる。文三は肚《はら》の裏《うち》に「おなじ言うの
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