え切れなくなッて、遂にはまだどうしてという手順をも思附き得ぬうちに、早くもお勢を救い得た後《のち》の楽しい光景《ありさま》が眼前《めさき》に隠現《ちらつ》き、払っても去らん事が度々有る。
しかし、始終空想ばかりに耽《ふけ》ッているでも無い※[#白ゴマ点、213−9]多く考えるうちには少しは稍々《やや》行われそうな工夫を付ける、そのうちでまず上策というは、この頃の家内《かない》の動静《ようす》を詳く叔父の耳へ入れて父親の口から篤《とく》とお勢に云い聞かせる、という一策で有る。そうしたら、或はお勢も眼が覚めようかと思われる。が、また思い返せば、他人の身の上なればともかくも、我と入組んだ関繋の有るお勢の身の上をかれこれ心配してその親の叔父に告げると何《なに》となく後めだくてそうも出来ん。仮使《たとい》思い切ッてそうしたところで、叔父はお勢を諭《さと》し得ても、我儘《わがまま》なお政は説き伏せるをさて置き、却《かえ》ッて反対にいいくるめられるも知れん、と思えば、なるべくは叔父に告げずして事を収めたい。叔父に告げずして事を収めようと思えば、今一度お勢の袖《そで》を扣《ひか》えて打附《うちつ》け
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