た》しゃア……そんな失敬な事ッて……」
昇は面白そうにお勢の真面目くさッた顔を眺《なが》めて莞爾々々《にこにこ》しながら、「いいじゃないか? ただちょいと……」
「厭《いや》ですよ、そんな……よッ、放して頂戴と云えばねえッ」
一生懸命に振放そうとする、放させまいとする、暫時争ッていると、縁側に足音がする、それを聞くと、昇は我からお勢の手を放《はなし》て大笑に笑い出した。
ずッとお政が入ッて来た。
「叔母さん叔母さん、お勢さんを放飼《はなしがい》はいけないよ。今も人を捉《つかま》えて口説《くど》いて口説いて困らせ抜いた」
「あらあらあんな虚言《うそ》を吐《つ》いて……非道《ひど》い人だこと!……」
昇は天井を仰向いて、「はッ、はッ、はッ」
第十八回
一週間と経《た》ち、二週間と経つ。昇は、相かわらず、繁々《しげしげ》遊びに来る。そこで、お勢も益々親しくなる。
けれど、その親しみ方が、文三の時とは、大きに違う。かの時は華美《はで》から野暮《じみ》へと感染《かぶ》れたが、この度《たび》は、その反対で、野暮の上塗が次第に剥《は》げて漸《ようや》く木地《きじ》の華美《は
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