い……」と振放そうとする手を握りしめる。
「あちちち」と顔を皺《しか》めて、「痛い事をなさるねえ!」
「ちッとは痛いのさ」
「放して頂戴《ちょうだい》よ。よう。放さないとこの手に喰付《くいつき》ますよ」
「喰付たいほど思えども……」と平気で鼻歌。
お勢はおそろしく顔を皺《しか》めて、甘たるい声で、「よう、放して頂戴と云えばねえ……声を立てますよ」
「お立てなさいとも」
と云われて一段声を低めて、「あら引[#「引」は小書き右寄せ]本田さんが引[#「引」は小書き右寄せ]手なんぞ握ッて引[#「引」は小書き右寄せ]ほほほ、いけません、ほほほ」
「それはさぞ引[#「引」は小書き右寄せ]お困りで御座いましょう引[#「引」は小書き右寄せ]」
「本統に放して頂戴よ」
「何故《なぜ》? 内海に知れると悪いか?」
「なにあんな奴に知れたッて……」
「じゃ、ちッとこうしてい給《たま》え。大丈夫だよ、淫褻《いたずら》なぞする本田にあらずだ……が、ちょッと……」と何やら小声で云ッて、「……位《ぐら》いは宜かろう?」
するとお勢は、どうしてか、急に心から真面目になッて、「あたしゃア知らないからいい……私《わ
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