じぶくり、替歌の伝受|等《など》、いろいろの事が有ッたが、蒼蠅《うるさ》いからそれは略す。
 刺身は調味《つま》のみになッて噎《おくび》で応答《うけこたえ》をするころになッて、お政は、例の所へでも往きたくなッたか、ふと起《た》ッて坐舗《ざしき》を出た。
 と両人《ふたり》差向いになッた。顔を視合わせるとも無く視合わして、お勢はくすくすと吹出したが、急に真面目になッてちんと澄ます。
「これアおかしい。何がくすくすだろう?」
「何でも無いの」
「のぼる源氏のお顔を拝んで嬉しいか?」
「呆《あき》れてしまわア、ひょッとこ面《づら》の癖に」
「何だと?」
「綺麗《きれい》なお顔で御座いますということ」
 昇は例の黙ッてお勢を睨《ね》め出す。
「綺麗なお顔だというンだから、ほほほ」と用心しながら退却《あとすざり》をして、「いいじゃア……おッ……」
 ツと寄ッた昇がお勢の傍《そば》へ……空《くう》で手と手が閃《ひらめ》く、からまる……と鎮《しず》まッた所をみれば、お勢は何時《いつ》か手を握られていた。
「これがどうしたの?」と平気な顔。
「どうもしないが、こうまず俘虜《いけどり》にしておいてどッこ
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