引立られ、がやがや喚きながらも坐舗《ざしき》を連れ出されて、稍々《やや》部屋へ収まッたようす。
となッて、文三始めて人心地が付いた。
いずれ宛擦《あてこす》りぐらいは有ろうとは思ッていたが、こうまでとは思い掛けなかッた。晴天の霹靂《へきれき》、思いの外なのに度肝《どぎも》を抜かれて、腹を立てる遑《いとま》も無い。脳は乱れ、神経は荒れ、心神《しんじん》錯乱して是非の分別も付かない。只《ただ》さしあたッた面目なさに消えも入りたく思うばかり。叔母を観れば、薄気味わるくにやりとしている。このままにも置かれない、……から、余義なく叔母の方へ膝を押向け、おろおろしながら、
「実に……どうもす、す、済まんことをしました……まだお咄はいたしませんでしたが……一昨日|阿勢《おせい》さんに……」
と云いかねる。
「その事なら、ちらと聞きました」と叔母が受取ッてくれた。「それはああした我儘者ですから、定めしお気に障るような事もいいましたろうから……」
「いや、決してお勢さんが……」
「それゃアもう」と一越《いちおつ》調子高に云ッて、文三を云い消してしまい、また声を並に落して、「お叱んなさるも、あれの身
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