ものを。人の事を浮気者《うわきもん》だなンぞッて罵《ののし》ッて置きながら、三日も経たないうちに、人の部屋へつかつか入ッて来て……人の袂なンぞ捉《つかま》えて、咄《はなし》が有るだの、何だの、種々《いろいろ》な事を云ッて……なんぼ何だッて余《あんま》り人を軽蔑《けいべつ》した……云う事が有るなら、茲処《ここ》でいうがいい、慈母さんの前で云えるなら、云ッてみるがいい……」
留めれば留めるほど、尚《な》お喚《わめ》く。散々喚かして置いて、もう好い時分と成ッてから、お政が「彼方《あッち》へ」と顋《あご》でしゃくる。しゃくられて、放心して人の顔ばかり視ていたお鍋は初めて心附き、倉皇《あわてて》箸《はし》を棄ててお勢の傍《そば》へ飛んで来て、いろいろに賺《す》かして連れて行こうとするが、仲々素直に連れて行かれない。
「いいえ、放擲《うっちゃ》ッといとくれ。何だか云う事が有《ある》ッていうンだから、それを……聞かないうちは……いいえ、私《わた》しゃ……あンまり人を軽蔑した……いいえ、其処《そこ》お放しよ……お放しッてッたら、お放しよッ……」
けれども、お鍋の腕力には敵《かな》わない。無理無体に
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