《だ》ッこのぐい極《ぎ》めと往きやしょう」
と白らけた声を出して、手を出しながら、摺寄《すりよ》ッて来る。
「明日の支度が……」
とお勢は泣声を出して身を縮ませた。
「ほい間違ッたか。失敗、々々」
何を云ッても敵手《あいて》にならぬのみか、この上手を附けたら雨になりそうなので、さすがの本田も少し持あぐねたところへ、お鍋が呼びに来たから、それを幸いにして奥坐舗へ還ッてしまッた。
文三は昇が来たから安心を失《な》くして、起ッて見たり坐ッて見たり。我他彼此《がたびし》するのが薄々分るので、弥以《いよいよもって》堪《たま》らず、無い用を拵《こしら》えて、この時二階を降りてお勢の部屋の前を通りかけたが、ふと耳を聳て、抜足をして障子の間隙《ひずみ》から内を窺《のぞい》てはッと顔※[#白ゴマ点、178−15]お勢が伏臥《うつぶし》になッて泣……い……て……
「Explanation《エキスプラネーション》(示談《はなしあい》)」と一時に胸で破裂した……
第十五回
Explanation《エキスプラネーション》(示談《はなしあい》)、と肚《はら》を極めてみると、大きに胸が透いた
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