、そして自分も安心したい。それで文三は先刻も言葉を濁して来たので、それで文三は今又|屈托《くったく》の人と為《な》ッているので。
「どうしたものだろう」
ト文三再び我と我に相談を懸けた。
「寧《いっ》そ叔母の意見に就いて、廉耻も良心も棄ててしまッて、課長の所へ往ッて見ようかしらん。依頼さえして置けば、仮令《たと》えば今が今どうならんと云ッても、叔母の気が安まる。そうすれば、お勢さえ心変りがしなければまず大丈夫と云うものだ。かつ慈母《おッか》さんもこの頃じゃア茶断《ちゃだち》して心配してお出でなさるところだから、こればかりで犠牲《ヴィクチーム》に成ッたと云ッても敢て小胆とは言われまい。コリャ寧《いッ》そ叔母の意見に……」
が猛然として省思すれば、叔母の意見に就こうとすれば厭でも昇に親まなければならぬ。昇とあのままにして置いて独り課長に而已《のみ》取入ろうとすれば、渠奴《きゃつ》必ず邪魔を入れるに相違ない。からして厭でも昇に親まなければならぬ。老母の為お勢の為めなら、或は良心を傷《きずつ》けて自重の気を拉《とりひし》いで課長の鼻息を窺《うかが》い得るかも知れぬが、如何《いか》に窮したれ
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