只今《ただいま》直《じき》に」
 ト云ッてお鍋が襖を閉切《たてき》るを待兼ねていた文三が、また改めて叔母に向って、
「段々と承ッて見ますと、叔母さんの仰《おっ》しゃる事は一々|御尤《ごもっとも》のようでも有るシ、かつ私《わたくし》一個《ひとり》の強情から、母親《おふくろ》は勿論《もちろん》叔母さんにまで種々《いろいろ》御心配を懸けまして甚《はなは》だ恐入りますから、今一応|篤《とく》と考えて見まして」
「今一応も二応も無いじゃ有りませんか、お前さんがモウ官員にゃならないと決めてお出でなさるんだから」
「そ、それはそうですが、シカシ……事に寄ッたら……思い直おすかも知れませんから……」
 お政は冷笑しながら、
「そんならマア考えて御覧なさい。だがナニモ何ですよ、お前さんが官員に成ッておくんなさらなきゃア私どもが立往かないと云うんじゃ無いから、無理に何ですよ、勧めはしませんよ」
「ハイ」
「それから序《ついで》だから言ッときますがネ、聞けば昨夕《ゆうべ》本田さんと何だか入組みなすったそうだけれども、そんな事が有ッちゃ誠に迷惑しますネ。本田さんはお前さんのお朋友《ともだち》とは云いじょう、今
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