け》ます引[#「引」は小書き右寄せ]羨《うらや》ましいぞ引[#「引」は小書き右寄せ]。どうだ内海、エ、今の御託宣は。『文さんのような人が好きッ』アッ堪《たま》らぬ堪らぬ、モウ今夜|家《うち》にゃ寝られん」
「オホホホホそんな事仰しゃるけれども、文さんのような同権論者が好きと云ッたばかりで、文さんが好きと云わないから宜いじゃ有りませんか」
「その分疏《いいわけ》闇《くら》い闇い。文さんのような人が好きも文さんが好きも同じ事で御座います」
「オホホホホそんならばネ……アこうですこうです。私はネ文さんが好きだけれども、文さんは私が嫌いだから宜《いい》じゃ有りませんか。ネー文さん、そうですネー」
「ヘン嫌いどころか好きも好き、足駄《あしだ》穿《は》いて首ッ丈と云う念の入ッた落《おッ》こちようだ。些《すこ》し水層《みずかさ》が増そうものならブクブク往生しようと云うんだ。ナア内海」
文三はムッとしていて莞爾《にっこり》ともしない。その貌をお勢はチョイと横眼で視て、
「あんまり貴君が戯談《じょうだん》仰しゃるものだから、文さん憤《おこ》ッてしまいなすッたよ」
「ナニまさか嬉《うれ》しいとも云えない
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