待遇《とりあつか》ッて、剰《あまつさ》え叔母やお勢の居る前で嘲笑《ちょうしょう》した、侮辱した。
復職する者が有ると云う役所の評判も、課長の言葉に思当る事が有ると云うも、昇の云う事なら宛《あて》にはならぬ。仮令《よし》それ等は実説にもしろ、人の痛いのなら百年も我慢すると云う昇が、自家《じぶん》の利益を賭物《かけもの》にして他人の為めに周旋しようと云う、まずそれからが呑込めぬ。
仮りに一歩を譲ッて、全く朋友《ほうゆう》の信実心からあの様な事を言出したとしたところで、それならそれで言様《いいよう》が有る。それを昇は、官途を離れて零丁孤苦《れいていこく》、みすぼらしい身に成ッたと云ッて文三を見括《みくび》ッて、失敬にも無礼にも、復職が出来たらこの上が無かろうト云ッた。
それも宜しいが、課長は昇の為めに課長なら、文三の為めにもまた課長だ。それを昇は、あだかも自家《うぬ》一個《ひとり》の課長のように、課長々々とひけらかして、頼みもせぬに「一|臂《び》の力を仮してやろう、橋渡しをしてやろう」と云ッた。
疑いも無く昇は、課長の信用、三文不通の信用、主人が奴僕《ぬぼく》に措く如き信用を得ている
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