「》であったが、シカシ上野公園に来着いた頃にはまた口をきき出して、また旧《もと》のお勢に立戻ッた。
 上野公園の秋景色、彼方此方《かなたこなた》にむらむらと立|駢《なら》ぶ老松奇檜《ろうしょうきかい》は、柯《えだ》を交じえ葉を折重ねて鬱蒼《うっそう》として翠《みどり》も深く、観る者の心までが蒼《あお》く染りそうなに引替え、桜杏桃李《おうきょうとうり》の雑木《ざつぼく》は、老木《おいき》稚木《わかぎ》も押なべて一様に枯葉勝な立姿、見るからがまずみすぼらしい。遠近《おちこち》の木間《このま》隠れに立つ山茶花《さざんか》の一本《ひともと》は、枝一杯に花を持ッてはいれど、※[#「煢−冖」、第4水準2−79−80]々《けいけい》として友欲し気に見える。楓《もみじ》は既に紅葉したのも有り、まだしないのも有る。鳥の音《ね》も時節に連れて哀れに聞える、淋しい……ソラ風が吹通る、一重桜は戦栗《みぶるい》をして病葉《びょうよう》を震い落し、芝生の上に散布《ちりし》いた落葉は魂の有る如くに立上りて、友葉《ともば》を追って舞い歩き、フトまた云合せたように一斉《いっせい》にパラパラと伏《ふさ》ッてしまう。満眸《
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