ヘ、一人は今様おはつとか称《とな》える突兀《とっこつ》たる大丸髷、今一人は落雪《ぼっとり》とした妙齢の束髪頭、孰《いず》れも水際《みずぎわ》の立つ玉|揃《ぞろ》い、面相《かおつき》といい風姿《ふうつき》といい、どうも姉妹《きょうだい》らしく見える。昇はまず丸髷の婦人に一礼して次に束髪の令嬢に及ぶと、令嬢は狼狽《あわて》て卒方《そっぽう》を向いて礼を返えして、サット顔を※[#「赤+報のつくり」、87−7]《あから》めた。
 暫らく立在《たたずん》での談話《はなし》、間《あわい》が隔離《かけはな》れているに四辺《あたり》が騒がしいのでその言事は能《よ》く解らないが、なにしても昇は絶えず口角《くちもと》に微笑を含んで、折節に手真似をしながら何事をか喋々《ちょうちょう》と饒舌り立てていた。その内に、何か可笑しな事でも言ッたと見えて、紳士は俄然《がぜん》大口を開《あ》いて肩を揺ッてハッハッと笑い出し、丸髷の夫人も口頭《くちもと》に皺《しわ》を寄せて笑い出し、束髪の令嬢もまた莞爾《にっこり》笑いかけて、急に袖で口を掩《おお》い、額越《ひたえごし》に昇の貌を眺めて眼元で笑った。身に余る面目に昇は得々
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