ィのず》と可笑しいからそれで笑うようで。
お政は菊細工には甚《はなは》だ冷淡なもので、唯「綺麗だことネー」ト云ッてツラリと見亘《みわた》すのみ。さして眼を注《と》める様子もないが、その代りお勢と同年配頃の娘に逢えば、叮嚀《ていねい》にその顔貌風姿《かおかたち》を研窮《けんきゅう》する。まず最初に容貌《かおだち》を視て、次に衣服《なり》を視て、帯を視て爪端《つまさき》を視て、行過ぎてからズーと後姿《うしろつき》を一|瞥《べつ》して、また帯を視て髪を視て、その跡でチョイとお勢を横目で視て、そして澄ましてしまう。妙な癖も有れば有るもので。
昇等三人の者は最後に坂下の植木屋へ立寄ッて、次第々々に見物して、とある小舎《こや》の前に立止ッた。其処に飾付《かざりつけ》て在ッた木像《にんぎょう》の顔が文三の欠伸《あくび》をした面相《かおつき》に酷《よ》く肖《に》ているとか昇の云ッたのが可笑しいといって、お勢が嬌面《かお》に袖を加《あ》てて、勾欄《てすり》におッ被《かぶ》さッて笑い出したので、傍《かたわら》に鵠立《たたずん》でいた書生|体《てい》の男が、俄《にわか》に此方《こちら》を振向いて愕然《が
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