tよりは寧《むし》ろその態度で、髪も例《いつも》の束髪ながら何とか結びとかいう手のこんだ束ね方で、大形の薔薇《ばら》の花挿頭《はなかんざし》を挿《さ》し、本化粧は自然に背《そむ》くとか云ッて薄化粧の清楚《せいそ》な作り、風格|※[#「蚌のつくり」、第3水準1−14−6]神《ぼうしん》共に優美で。
「色だ、ナニ夫婦サ」と法界悋気《ほうかいりんき》の岡焼連が目引袖引《めひきそでひき》取々に評判するを漏聞く毎《ごと》に、昇は得々として機嫌《きげん》顔、これ見よがしに母子《おやこ》の者を其処茲処《そこここ》と植木屋を引廻わしながらも片時と黙してはいない。人の傍聞《かたえぎき》するにも関《かま》わず例の無駄《むだ》口をのべつに並べ立てた。
 お勢も今日は取分け気の晴れた面相《かおつき》で、宛然《さながら》籠《かご》を出た小鳥の如くに、言葉は勿論|歩風《あるきぶり》身体《からだ》のこなしにまで何処ともなく活々《いきいき》としたところが有ッて冴《さえ》が見える。昇の無駄を聞ては可笑《おか》しがッて絶えず笑うが、それもそうで、強《あなが》ち昇の言事《いうこと》が可笑しいからではなく、黙ッていても自然《
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