sあいし》、運命の寵臣《ちょうしん》、人の中《うち》の人、男の中《なか》の男と世の人の尊重の的、健羨《けんせん》の府となる昔|所謂《いわゆる》お役人様、今の所謂官員さま、後の世になれば社会の公僕とか何とか名告《なの》るべき方々も出た。商賈《しょうこ》も出た負販《ふはん》の徒も出た。人の横面《そっぽう》を打曲《はりま》げるが主義で、身を忘れ家を忘れて拘留の辱《はずかしめ》に逢《あ》いそうな毛臑《けずね》暴出《さらけだ》しの政治家も出た。猫も出た杓子《しゃくし》も出た。人様々の顔の相好《すまい》、おもいおもいの結髪風姿《かみかたち》、聞覩《ぶんと》に聚《あつ》まる衣香襟影《いこうきんえい》は紛然雑然として千態|万状《ばんじょう》、ナッカなか以て一々枚挙するに遑《いとま》あらずで、それにこの辺は道幅《みちはば》が狭隘《せばい》ので尚お一段と雑沓《ざっとう》する。そのまた中を合乗で乗切る心無し奴《め》も有難《ありがた》の君が代に、その日|活計《ぐらし》の土地の者が摺附木《マッチ》の函《はこ》を張りながら、往来の花観る人をのみ眺《なが》めて遂に真《まこと》の花を観ずにしまうかと、おもえば実に浮世
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