ヌ》にさえ迷惑《まごつい》てるんだ。なんぼ何だッて愛想《あいそ》が尽きらア」
「だけれども本田さんは学問は出来ないようだワ」
「フム学問々々とお言いだけれども、立身出世すればこそ学問だ。居所《いど》立所《たちど》に迷惑《まごつ》くようじゃア、些《ちっ》とばかし書物《ほん》が読めたッてねっから難有味《ありがたみ》がない」
「それは不運だから仕様がないワ」
 トいう娘の顔をお政は熟々《しけじけ》目守《みつ》めて、
「お勢、真個《ほんと》にお前は文三と何にも約束した覚えはないかえ。エ、有るなら有ると言ておしまい、隠立《かくしだて》をすると却《かえっ》てお前の為にならないヨ」
「またあんな事を言ッて……昨日《きのう》あれ程そんな覚えは無いと言ッたのが母親《おっか》さんには未だ解らないの、エ、まだ解らないの」
「チョッ、また始まッた。覚えが無いなら無いで好やアネ、何にもそんなに熱くならなくッたッて」
「だッて人をお疑《うたぐ》りだものヲ」
 暫らく談話《はなし》が断絶《とぎ》れる、母親も娘も何か思案顔。
「母親《おっか》さん、明後日《あさって》は何を衣《き》て行こうネ」
「何なりとも」
「エート
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