フ恩位は知ていますワ。知ていますけれども条理……」
「アアモウ解ッた解ッた、何にも宣《のたも》うナ。よろしいヨ、解ッたヨ」
ト昇は憤然《やっき》と成ッて饒舌り懸けたお勢の火の手を手頸《てくび》で煽《あお》り消して、さてお政に向い、
「しかし叔母さん、此奴《こいつ》は一番|失策《しくじ》ッたネ、平生の粋《すい》にも似合わないなされ方、チトお恨みだ。マア考えて御覧《ごろう》じろ、内海といじり合いが有ッて見ればネ、ソレ……という訳が有るからお勢さんも黙ッては見ていられないやアネ、アハハハハ」
ト相手のない高笑い。お勢は額《ひたえ》で昇を睨《にら》めたまま何《なに》とも言わぬ、お政も苦笑いをした而已《のみ》でこれも黙然《だんまり》、些《ち》と席がしらけた趣き。
「それは戯談《じょうだん》だがネ、全体叔母さん余り慾が深過るヨ、お勢さんの様なこんな上出来な娘を持ちながら……」
「なにが上出来なもんですか……」
「イヤ上出来サ。上出来でないと思うなら、まず世間の娘子《むすめっこ》を御覧なさい。お勢さん位の年|恰好《かっこう》でこんなに縹致《きりょう》がよくッて見ると、学問や何かは其方退《そっちの
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