スけれども、何してもこの通り気が弱いシ、それに先には文三という荒神《こうじん》様が附てるからとても叶《かな》う事《こっ》ちゃア無いとおもって、虫を殺ろして噤黙《だまっ》てましたがネ……」
「アラあんな虚言《うそ》ばッかり言ッて」
「虚言じゃないワ真実《ほんと》だワ……マなんぼなんだッて呆《あき》れ返るじゃ有りませんか。ネー貴君、何処の国にか他人の肩を持ッてサ、シシババの世話をしてくれた現在の親に喰ッて懸るという者《もん》が有るもんですかネ。ネー本田さん、そうじゃア有りませんか。ギャット産れてからこれまでにするにア仇《あだ》や疎《おろそ》かな事《こっ》じゃア有りません。子を持てば七十五|度《たび》泣くというけれども、この娘《こ》の事《こっ》てはこれまで何百度泣たか知れやアしない。そんなにして養育《そだて》て貰ッても露程も有難いと思ッてないそうで、この頃じゃ一口いう二口目にゃ速《す》ぐ悪たれ口だ。マなんたら因果でこんな邪見な子を持ッたかと思うとシミジミ悲しくなりますワ」
「人が黙ッていれば好気《いいき》になってあんな事を言ッて、余《あんま》りだから宜《いい》ワ。私は三歳の小児じゃないから親
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