うかしたいということとどうかしたという、それはたま/\名称を置き変えたに過ぎないので、本質は同じ変らぬことをやっているのに過ぎないのだ。人類が滅亡すれば己達はまた何か別なものになっていることだろうよ」
「また、いつもの君の哲学が出ますね、君の言うことは真理かも知れません。しかし僕はホイットマンの詩に歓びを感じることも事実です――それに、僕達は僕達以上の存在、神人もしくは人間神を予想し得ないでしょうか。例えば君の永遠の苦痛である生命も苦痛でないような――」
「馬鹿を言いたまうな。神人、人間神の苦痛が己達に分るものか。燃ゆる太陽を見たまえ! あの太陽が崩れる時が来たら、その破片から人間以上の怪物が生まれるかも知れない。神の国は苦痛の太極にあるのだ」
「――」
 宮岡は黙した。平一郎も黙していた。沈んだ尾沢の語調がひとり響いた。静寂をはた/\とかすれるような音のするのは雪が降り出したのであろう。火鉢の炭火は燃えさかって、ぱち/\火花を散らした。静かである。静けさは十分間ばかりも続いた。誰もものを言う気になれなかった。ものを言うことがこの厳かな静けさを汚すようで恐ろしかった。階下で足駄の雪をは
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