は疑い深く深井をみつめた。深井のやや上気した紅顔は真面目で純潔な光に輝いていた。
「君は読んだことがあるのか」
「ええ」
「うう――君は近頃どうしてそんな作品を読み耽るようになったのだ」平一郎はこうたずねた。深井は耳の根元まで真紅に染めて羞恥のためか顔面を俯《ふ》せてしまった。動機に平一郎自身深い因縁と責任のあることは平一郎も思い及ばなかった。彼は追及することを止めて、感触の軽くて快い乾草の上に起き直ってふと校門の方を見た。薄桃色の華やかなパラソルが彼の目に見えた。
「和歌子さんだ!」
平一郎はもしや和歌子が丘上の自分達を気づかないで行きすぎやしまいかが心配だった。彼の後ろで深井が同じ熱心さで瞳を燃やしつつじっと和歌子の姿に見とれていた。和歌子はすぐに丘の上の二人を見つけた。彼女は笑った。薄く化粧してお太鼓に帯を結んだ和歌子は実際平一郎達の姉としか見られなかった。
「下りていらっしゃいな」
「ここへ上っておいでよ」
「いけません。学校じゃないの。下りていらっしゃいな。先生に見つかったらよくないわ」
「ようし」平一郎は駈け下りた。そして飛びつくように和歌子の双手を握って堅く振った。
「
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