うな女々しい泣言は僕は大嫌いだ」と言いすてたかもしれない。しかし愛する少年の花弁のように美しい唇からもれる話に彼は耳を傾けた。
「ロシヤのね、マキシム・ゴルキイという人はね、もと貧乏な労働者の息子で、ヴォルガ河を上下する船の水夫なんかしていたのです。それが青年時代になっていろ/\な作品を書いて今では世界的な文豪になっているのです――これは少し見当違いのようだけれど、僕は大河君、君がゴルキイに似ているような気がしてならないのですよ」
「――マキシム・ゴルキイというんだね。今でも生きている人かい」
「ええ、生きていますとも。何でもロシヤの社会党の首領ですって」
「ほう――」平一郎はゴルキイがどんな人物であるか、どれ程に偉いかを了解できなかったが、貧乏で、成長して偉くなっているのが彼の気に入った。
「ロシヤにはそんな偉い人が多いのかね」
「それあ多いのです――クロポートキンという人や、トルストイやドストエフスキイや――」
「日本では誰が豪いのかな」平一郎はごろり横になって肘枕をして心の中で「誰がいるものか」と思いながら尋ねた。
「×××××――」平一郎はそんな人の名を聞いたことがなかった。彼
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