な娯楽は人間の霊《たましい》の慰安になるが、下等な娯楽は霊を腐食《ふしょく》する黴菌《ばいきん》である。
 読者諸君! 諸君は決してゆだんをしてはならぬ、諸君の前にいろいろな陥《おと》しあなが口をあいて待っているのだ、諸君は右を見ても左を見ても諸君を誘惑するものが並び立っているとき、自らの理性に訴えて悪をしりぞけ善を採用せねばならぬ、諸君の思慮にあまる場合にはそれを隠さずに父母や兄や姉や学校の先生に相談せねばならぬ。
 災難や過失は何人《なにびと》もまぬかれることはできない、が、その場合に父母に叱られることをおそれたり、先生にわらわれることをおそれたりして浅墓《あさはか》な自分の知恵で秘密にことを運ぼうとするとその結果たるやますます悪くなるばかりである。もし文子が早くも父母もしくは兄の光一にすべてを打ちあけたなら、災難はその日かぎりで無事にすんだのである。人の子たるものは父母に対して秘密を作ってはならぬ、人の弟や妹たるものは兄や姉に対して、そうして人の弟子たるものは師に対して秘密を作ってはならぬ、秘密を打ちあけることははずかしいが、打ちあけなければ罪が次第に深くなるのだ。秘密を打ちあけ
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