して生徒も町の人も一種の反感をもっていた、だが日を経《ふ》るにしたがって新校長の実践躬行《じっせんきゅうこう》的な人格は全校を圧し、町を圧しいまではだれひとり尊敬せぬものはない。
「黙々《もくもく》先生と熊田先生とどっちがこわいだろう」
町の人々はこううわさした。それだけ厳格な熊田先生が今中学校内に不良少年があると聞いたのだからたまらない。
「厳罰《げんばつ》に処すべしだ、よく調べてくれ」
校長の命令に職員は目を皿のごとく大きくしてさがしたてた。
と、まただれがいうとなくそれは手塚だといううわさが立った。このことを申し立てたのは中村という同級生であった、中村は善良な青年だが、思慮にとぼしく言葉が多いのが欠点である、かれは学校中のすべてのことを知っているのでみながかれを探偵と呼んでいた、だがこの探偵は決して人に危害を加えない、口からでまかせにすきなことをしゃべりちらして喜んでいるだけである。中村は手塚が昨日《きのう》不良少女と活動写真館からでたのを見た、そうして後をつけていくと洋食屋へはいったというのであった。
級の重なるものが五人集まって相談会を開いた、もし手塚であるなら同級の
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