反して中学生は多くは相当の資産ある家の子である、かれらは自由にぜいたくなシャツを買い、ハイカラな文房具を用い、活動や芝居などを見物し、洋食屋へも出入りする、そうさせることを不純だと思わない父兄が多いのである。
 寄宿舎に閉じこめられてかごの鳥のごとく小さくなっている師範生の目から見ると、中学生の生活はまったく不潔であり放縦《ほうじゅう》であり頽廃的《たいはいてき》である。
 久保井校長のつぎにきた熊田校長というのはおそろしく厳格な人であった、久保井先生は温厚で謙遜で中和の人であったが、熊田先生は直情径行《ちょくじょうけいこう》火のごとき熱血と、雷霆《らいてい》のごとき果断をもっている。もし久保井校長が春なら熊田校長は冬である、前者は春風|駘蕩《たいとう》、後者は寒風|凛烈《りんれつ》! どんなに寒い日でも熊田校長は外套《がいとう》を着ない、校長室に火鉢もおかない、かつて大吹雪《おおふぶき》の日、生徒はことごとくふるえていた日、校長は校庭にでて雪だるまを転がしまわった、その髪となく目となく口となく、雪だらけになったが少しもひるまなかった。
 久保井先生が去ってからつぎにきたるべき校長に対
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