恥辱だからなんとかいまのうちに相当の手段を講じなければなるまい。これが会議の主眼であった。
「きゃつは一体生意気だからぶんなぐるがいいよ」
と浜本という剣道の選手がいった。浜本はすべてハイカラなものはきらいであった、かれは洋服の上にはかまをはいて学校へ来たことがあるので、人々はかれを彰義隊《しょうぎたい》とあだ名した。
「なぐる前に一応忠告するがいいよ」と渋谷がいった、渋谷は手塚と親しかった、かれは日曜ごとに手塚の家へいってご馳走《ちそう》になるのであった。かれはまた手塚から真珠入りの小刀だの、水晶のペンつぼなどをもらった。かれが手塚をかばったことがかえって一同の憤激をたきつけることになった。
「ばかッ、きさまは医者の子からわいろをもらってるからそんなことをいうんだろう、だれがなんといってもおれはなぐる、あいつは一体小利口で陰険だぞ」
「そうだそうだ」とみなが賛成した。
「いつか生蕃《せいばん》カンニング事件のときにも生蕃は手塚の犠牲《ぎせい》にされたんだぞ」
こういうものもあった。
「待ってくれ」と光一はいった。「一体手塚のなにが悪いんだ、問題の要点がぼくにわからないから説明して
前へ
次へ
全283ページ中216ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング