ぼう》していた師範生はことごとく黙々の味方となった。安場が先頭になって一同は中学の門前で凱歌《がいか》をあげた、そうして町を練り歩いた。町々では手おけに水をくんで接待したのもあった。善兵衛は自分の店のみかんを残らずかつぎ込んでみかんをまきながら選手の後について行った。一同は喜び勇んで塾《じゅく》へ帰った。かれらは塾の前でみんなシャツを脱ぎ、へそをだして門内へはいった。
先生は一帳羅《いっちょうら》の羽織とはかまをつけて出迎えた。
「勝ちました」と安場がいった。
「それは最初からわかってる」と先生がいった、そうして「ボールをやると同じ気持ちで学問をすれば天下の大選手になれる」とつけくわえた。
十
へその秘伝をおぼえてから千三はめきめきと腕が上達した。浦中と黙々は復讐戦《ふくしゅうせん》をやる、そのつぎには決勝をやる、復讐のまた復讐戦をやるという風にこの町の呼《よ》び物《もの》になった。
「チビ公のやつ、どうしておれの球をあんなに打つんだろう」
光一はふしぎでたまらなかった、実際千三はいかなる球をも打ちこなした、対師範校との試合にはオールヒットの成績をあげた。そ
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