拾うてホームへ投げた、がこのときはすでにおそかった、五大洲とクラモウは長駆《ちょうく》してホームへ入り、千三は三塁にすべり込んだ。
「バンザアイ」
 天地をゆるがすばかりに群集は叫んだ、この叫びがおわらぬうちにすぐにふしぎな喝采が起こった。
 松の枝に乗っていた覚平と善兵衛はバンザイを叫んだ拍子《ひょうし》に両手をあげたので、松の上から転がり落ちたのであった。落ちたまま覚平はらっぱをふくことをやめなかった。
「ぷうぷうぽうぽう」
「バンザアイ」
 こうなってくると黙々隊《もくもくたい》は急に活気づいてきた。一塁手の旗竿《はたざお》は二塁打を打って千三が本塁に入った。黙々《もくもく》は一点を勝ち越した。つぎのすずめはバウンドを打って旗竿《はたざお》を三塁に進めた。
 とつぎには安場の作戦が奇功を奏《そう》し、スクイズプレーでまた一点を取った。
 浦中は必死になった、小原、柳は死に物狂いに戦った、が千三の快技はあらゆる難球を食いとめた、かれはしっかりと腹を落ちつけた、かれの頭は透明で気がほがらかであった。
 七==五
 黙々は勝った、波濤《はとう》のごとき喝采が起こった、中立を標榜《ひょう
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