な服装と、いかにも得意然《とくいぜん》たる顔色と共に見物人を圧倒した、ダブルプレー、トリプルプレー、その中に手塚のできばえはべっしてすばらしかった、かれはどんなゴロでも完全につかんだ、かれは頭上高き球をジャンプしてとった、左側に打たれた難球を転《ころ》んでつかんだ、つかむやいなや二塁に送った。その機敏さ、洒脱《しゃだつ》さはさながら軽業師《かるわざし》のごとく見物人を酔《よ》わした。
「手塚! 手塚!」
 の声が鳴りわたった。ちょうどそのとき黙々塾《もくもくじゅく》の一隊が入場した。
「きたきたきた」
 見物人は立ちあがってその方を見やった、同時に「わあッ」という笑声が一度に起こった。
 見よ! 黙々塾の一隊! それはマークの着いた帽子もなく揃いのユニフォームもない、かれらは一様にてぬぐいで鉢巻きをしていた、かれらのきたシャツにはメリヤスもあればねずみ色に古びたフランネルもあり、腕のないじゅばんもあった、かれらは大抵《たいてい》さるまたの上にへこ帯をきりきりと巻き、結び玉を後ろへたれていた、かれらのはいてるのは車夫のゴム足袋《たび》もあれば兵隊の古靴もある。九人はことごとくちがった服装
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