皇国《こうこく》の正統をあきらかにす」
「北畠親房《きたばたけちかふさ》を知ってるか」
「よくは知りません、歴史で少しばかり」
「日本第一の忠臣を知らんか、そのあとを読め」
「親房《ちかふさ》の第二子|顕信《あきのぶ》の子|守親《もりちか》、陸奥守《むつのかみ》に任ぜらる……その孫|武蔵《むさし》に住み相模《さがみ》扇ヶ谷《おうぎがやつ》に転ず、上杉家《うえすぎけ》に仕《つか》う、上杉家《うえすぎけ》滅《ほろ》ぶるにおよび姓《せい》を扇《おうぎ》に改め後|青木《あおき》に改む、……青木竜平《あおきりゅうへい》――長男|千三《せんぞう》……チビ公と称す、懦弱《だじゃく》取るに足らず……」
なべのいもは湯気を立ててふたはおどりあがった。先生はじっと千三の顔を見つめた。
「どうだ」
「先生!」
「きみの父祖は南朝《なんちょう》の忠臣だ、きみの血の中に祖先の血が活きてるはずだ、きみの精神のうちに祖先の魂《たましい》が残ってるはずだ、君は選ばれたる国民だ、大切な身体《からだ》だ、日本になくてはならない身体だ、そうは思わんか」
「先生!」
「なにもいうことはない、祖先の名をはずかしめないように奮
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