まっさきになって暴動を起こしたいのである、だがかれは校長の熱烈な演説と、そのいわんとしていわざる満腹の不平をしのんで、学生は学生らしくすべしという訓戒をたれた敬虔《けいけん》な態度を見ると、竹やりむしろ旗の暴動よりも、静粛の方がどれだけりっぱかしれないという溶々《ようよう》大海のごとき寛濶《かんかつ》な気持ちが全身にみなぎった。かれははじめて校長先生の偉大さがわかった。先生はなんの抵抗《ていこう》もせずにこの地方の教育界の将来のために喜んで十字架についたのである、先生は浦和の町人《まちびと》がかならずその不正不義を反省するときがくると自信しているのだ。
 小原はこういうことを柳に語った。
「ねえきみ、ぼくにはよく先生の気持ちがわかった、それはね、ぼくが捕手《キャッチャ》をやってるからだよ、捕手《キャッチャ》は決して自分だけのことを考えちゃいかんのだ、全体のことを……みんなのことを第一に考えなけりゃならない、ちょうど校長は捕手《キャッチャ》のようなものだからね」
「そうかね」
 柳はひどく感慨にうたれていった。そうして口の中で、「みんなのことみんなのこと」とくりかえした。
 ふたりは停車
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