なきゃならんよ」
「ぼくもそう思ったからきみに相談しようと思ってでかけたんだ」
「そうか、そうか」と小原はおとならしくうなずいて、「一番猛烈なのは三年だからね、ぼくは昨夜もおそくまで歩きまわって説法したよ、二年は君にたのむよ、いいか、どうしてもわかれなきゃならないものならぼくらは静粛に校長を見送ろうじゃないか」
「ぼくもそう思うよ」
「じゃそのつもりでやってくれ、だが三年はどうかな」
小原はしきりに三年のことを心配していた、いずれの中学校でも一番|御《ぎょ》しがたいのは三年生である、一年二年はまだ子供らしい点がある、四年五年になると、そろそろ思慮《しりょ》分別《ふんべつ》ができる、ひとり三年は単純であるかわりに元気が溌剌《はつらつ》として常軌《じょうき》を逸《いっ》する、しかも有名な木俣ライオンが牛耳をとっている、校長転任の披露があってからライオンは十ぴきのへびを町役場へ放そうと計画しているといううわさを聞いた、また校長を見送ってからその足で県庁や役場を襲《おそ》おうという計画もあると聞いている。
小原にはかれらの気持ちは十分にわかっていた、かれらがそんなことをせずとも、小原自身が
前へ
次へ
全283ページ中120ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング