ざわら》う。妾は何の意味とも知らず、今夜どころか、只今《ただいま》より淋しくて悲しくて心細さの遣《や》る瀬《せ》なき旨《むね》を答え、何故なればかく無情の処置をなし改化|遷善《せんぜん》の道を遮《さえぎ》り給うぞ、監獄署の処置余りといえば奇怪なるに、署長の巡回あらん時、徐《おもむ》ろに質問すべき事こそあれと、予《あらかじ》めその願意を通じ置きしに、看守は莞然《にこにこ》笑いながら、細君《さいくん》を離したら、困るであろう悲しいだろうと、またしても揶揄《からか》うなりき。その語気《ごき》の人もなげなるが口惜しくて、われにもあらず怫然《ふつぜん》として憤《いきどお》りしが、なお彼らが想像せる寃罪《えんざい》には心付くべくもあらずして、実に監獄は罪人を改心せしむるとよりは、罪人を一層悪に導く処なりと罵《ののし》りしに、彼は僅《わず》かに苦笑して、とかくは自分の胸に問うべしと答えぬ。妾は益※[#二の字点、1−2−22]|気昂《けあが》りて自分の胸に問えとは、妾に何か失策のありしにや、罪あらば聞かまほし、親しみ深き彼女を遠ざけられし理由聞かまほし、と迫りけれども、平生《へいぜい》悪人をのみ取り扱
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