妾の半生涯
福田英子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)戒《いまし》め

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)昔|懐《なつ》かしの

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)弥※[#二の字点、1−2−22]《いよいよ》
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     はしがき

 昔はベンジャミン・フランクリン、自序伝をものして、その子孫の戒《いまし》めとなせり。操行に高潔にして、業務に勤勉なるこの人の如きは、真《まこと》に尊き亀鑑《きかん》を後世に遺《のこ》せしものとこそ言うべけれ。妾《しょう》の如き、如何《いか》に心の驕《おご》れることありとも、いかで得て企《くわだ》つべしと言わんや。
 世に罪深き人を問わば、妾は実にその随一ならん、世に愚鈍《おろか》なる人を求めば、また妾ほどのものはあらざるべし。齢《よわい》人生の六分《ろくぶ》に達し、今にして過ぎ来《こ》し方《かた》を顧《かえり》みれば、行いし事として罪悪ならぬはなく、謀慮《おもんばか》りし事として誤謬《ごびゅう》なら
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