》る瀬《せ》なき思いに悶《もだ》えて、ある時|詠《よ》み出でし腰折《こしおれ》一首《いっしゅ》
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かくまでに濁《にご》るもうしや飛鳥川《あすかがわ》
そも源《みなもと》をただせ汲《く》む人
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七 女乞食
愁《うれ》いの糸のいとど払いがたかりしある日の事なり、八軒屋の旅宿にありて、ただ一人二階なる居間の障子《しょうじ》を打ち開き、階下に集《つど》える塵取船《ちりとりぶね》を眺《なが》めたりしに、女乞食の二、三歳なる小供を負いたるが、頻《しき》りに塵《ちり》の中より紙屑《かみくず》を拾い出し、これをば籠《かご》に入れ居たり。背なる小供は母の背に屈《かが》まりたるに、胸を押されて、その苦しさに堪えずやありけん、今にも窒息《ちっそく》せんばかりなる声を出して、泣き叫びけれども、母は聞えぬ体《てい》にて、なお余念なく漁《あさ》り尽し、果ては魚《うお》の腹腸《はらわた》、鳥の臓腑様《ぞうふよう》の物など拾い取りてこれを洗い、また料理する様《さま》のいじらしさに、妾は思わず歎息して、アアさても人の世はかばかり悲惨のものなりけるか、妾貧し
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