》ながらも大きなる過失は、なかりしならんに、志《こころざし》薄く行い弱くして、竜頭蛇尾《りゅうとうだび》に終りたること、わが身ながら腑甲斐《ふがい》なくて、口惜《くちお》しさの限り知られず。
六 遣《や》る瀬《せ》なき思い
右の如き、窮厄《きゅうやく》におりながら、いわゆる喉元《のどもと》過ぎて、熱さを忘るるの慣《なら》い、憂《う》たてや血気の壮士は言うも更《さら》なり、重井《おもい》、葉石《はいし》、新井《あらい》、稲垣《いながき》の諸氏までも、この艱難《かんなん》を余所《よそ》にして金が調《ととの》えりといいては青楼《せいろう》に登り絃妓《げんぎ》を擁《よう》しぬ。かかる時には、妾はいつも一人ぽっちにて、宿屋の一室に端座《たんざ》し、過去を思い、現在を慮《おもんばか》りて、深き憂いに沈み、婦女の身の最《い》とど果敢《はか》なきを感じて、つまらぬ愚痴《ぐち》に同志を恨《うら》むの念も起りたりしが、復《ま》た思いかえして、妾は彼らのために身を尽さんとには非《あら》ず、国のため、同胞のためなれば、などか中途にして挫折《ざせつ》すべき、アア富井女史だにあらばなどと、またしても遣《や
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