》みてお互いに尽す道は異《こと》なれども、必ず初志を貫《つらぬ》きて早晩自由の新天地に握手せんと言い交《か》わし、またの会合を約してさらばとばかり袂《たもと》を分《わか》ちぬ。アアこれぞ永久の別れとならんとは神ならぬ身の知る由《よし》なかりき。
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   第三 渡韓の計画


 一 妾の任務

 ある日同志なる石塚重平《いしづかじゅうへい》氏|来《きた》り、渡韓の準備|整《ととの》いたれば、御身《おんみ》をも具するはずなりとて、その理由およびそれについての方法等を説き明かされぬ。固《もと》より信ずる所に捧《ささ》げたる身の如何《いか》でかは躊躇《ためら》うべき、直ちにその用意に取りかかりけるに、かの友愛の心厚き中田光子《なかだみつこ》は、妾《しょう》の常ならぬ挙動を察してその仔細《しさい》を知りたげなる模様なりき。されど彼女に禍《わざわい》を及ぼさんは本意なしと思いければ、石塚重平氏に托《たく》して彼に勉学を勧《すす》めさせ、また於菟《おと》女史に書を送りて今回の渡航を告げ、後事《こうじ》を托し、これにて思い残す事なしと、心静かに渡韓の途《と》に上《のぼ》りけるは、明治十
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