顧《かえり》みるの遑《いとま》なし、我が国の危急を如何《いかん》せんと、益※[#二の字点、1−2−22]政府の改良に熱心したる所以《ゆえん》なり。儂《のう》熟※[#二の字点、1−2−22]《つらつら》考うるに、今や外交日に開け、表《おもて》に相親睦《あいしんぼく》するの状態なりといえども、腹中《ふくちゅう》各※[#二の字点、1−2−22]《おのおの》針を蓄《たくわ》え、優勝劣敗、弱肉強食、日々に鷙強《しきょう》の欲を逞《たくま》しうし、頻《しき》りに東洋を蚕食《さんしょく》するの兆《ちょう》あり、しかして、内《うち》我が国外交の状態につき、近く儂《のう》の感ずる処を拳《あ》ぐれば、曩日《さき》に朝鮮変乱よりして、日清の関係となり、その談判は果して、儂ら人民を満足せしむる結果を得しや。加之《しかのみならず》、この時に際し、外国の注目する所たるや、火を見るよりも明《あき》らけし。しかるにその結果たる不充分にして、外国人も私《ひそ》かに日本政府の微弱無気力なるを嘆ぜしとか聞く。儂思うてここに至れば、血涙《けつるい》淋漓《りんり》、鉄腸《てっちょう》寸断《すんだん》、石心《せきしん》分裂《ぶん
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