たるや、人民皆不同等なる、専制の政体を厭忌《えんき》し、公平無私なる、立憲の政体を希望し、新紙上に掲載し、あるいは演説にあるいは政府に請願して、日々専制政治の不可にして、日本人民に適せざる事を注告《ちゅうこく》し、早く立憲の政体を立て、人民をして政《まつりごと》に参せしめざる時は、憂国の余情|溢《あふ》れて、如何《いか》なる挙動なきにしも非ずと、種々当路者に向かって忠告するも、馬耳東風《はじとうふう》たる而已《のみ》ならず憂国の志士《しし》仁人《じんじん》が、誤って法網《ほうもう》に触《ふ》れしを、無情にも長く獄窓に坤吟《しんぎん》せしむる等、現政府の人民に対し、抑圧なる挙動は、実に枚挙《まいきょ》に遑《いとま》あらず。就中《なかんずく》儂の、最も感情を惹起《じゃっき》せしは、新聞、集会、言論の条例を設け、天賦《てんぷ》の三大自由権を剥奪《はくだつ》し、剰《あまつさ》え儂《のう》らの生来《せいらい》かつて聞かざる諸税を課せし事なり。しかしてまた布告書等に奉勅《ほうちょく》云々《うんぬん》の語を付し、畏《おそ》れ多くも 天皇陛下に罪状を附せんとするは、そもまた何事ぞや。儂はこれを思うごと
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