|都鄙《とひ》到《いた》る処として庠序《しょうじょ》の設けあらざるはなく、寒村《かんそん》僻地《へきち》といえどもなお※[#「口+伊」、第4水準2−3−85]唔《いご》の声を聴くことを得《う》、特《こと》に女子教育の如きも近来|長足《ちょうそく》の進歩をなし、女子の品位を高め、婦人の本性を発揮するに至れるは、妾らの大いに欣《よろこ》ぶ所なり。されど現時《げんじ》一般女学校の有様を見るに、その学科は徒《いたずら》に高尚に走り、そのいわゆる工芸科なる者もまた優美を旨《むね》とし以て奢侈《しゃし》贅沢《ぜいたく》の用に供せらるるも、実際生計の助けとなる者あらず、以て権門勢家《けんもんせいか》の令閨《れいけい》となる者を養うべきも、中流以下の家政を取るの賢婦人を出《いだ》すに足らず。これ実に昭代《しょうだい》の一欠事《いつけつじ》にして、しかして妾らの窃《ひそ》かに憂慮|措《お》く能《あた》わざる所以《ゆえん》なり。
それ世の婦女たるもの、人の妻となりて家庭を組織し、能《よ》くその所天《おっと》を援《たす》けて後顧《こうこ》の憂《うれ》いなからしめ、あるいは一朝不幸にして、その所天《おっと》に
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